「ちゃんと食べてる?」
この言葉を、人生で何百回聞いたかわからない。親から、友人から、職場の人から、久しぶりに会った親戚から。悪意はないのはわかっている。心配してくれているのもわかっている。でも正直なところ、もうずっと前から飽き飽きしている。
食べてます。それでも太れないだけです。
物心ついた頃から、自分は周りより細かった。給食は残さず食べていたし、おやつも食べていた。でも太らない。体育の授業で体重を計るたびに、クラスで一番か二番目に軽かった。
小学校の頃、健康診断で「要観察」になったことがある。痩せすぎているという理由で。当時は意味がよくわからなかったけど、親が少し心配そうにしていたのを覚えている。
その後も毎年のように「体重が少ない」と言われたが、特に何か病気が見つかるわけでもなく、「体質でしょう」で終わった。その「体質でしょう」が、今でも答えになっている。
大人になっても変わらなかった。20代前半から30代の今まで、体重はほぼ48〜51kgの範囲で動いている。増えることもあるが、すぐ戻る。身体がある一定の重さに落ち着こうとしているような感覚がある。
この言葉がつらいのは、悪意がないからだと思う。悪意があればこちらも怒れる。でも相手は純粋に心配してくれている。だから「食べてますよ、体質なんです」と笑って返すしかない。その繰り返しが、じわじわと積み重なっていく。
「ちゃんと食べてる?」という質問は、裏を返せば「ちゃんと食べていないから痩せているんでしょう」という前提が含まれている。でも実際は食べている。三食食べて、間食もする。それでも太れない。
食べているのに太れないという状況を説明するのが、毎回少し疲れる。「そうなんだ、大変だね」で終わればまだいいが、「じゃあもっとカロリーの高いものを食べれば?」「筋トレは?」と続くこともある。やってみたんですよ、それ。変わらなかったんですよ、それ。
毎年の健康診断で、体重の欄に必ず何か書かれる。「低体重」「要改善」「生活習慣を見直してください」。生活習慣の問題じゃないんだけどな、とは思いながら、「気をつけます」と言って帰る。
一度、担当の医師に「どうしたら太れますか」と聞いたことがある。返ってきた答えは「たくさん食べてください」だった。食べてるんですよ、と心の中でつぶやいた。
20代の頃、本気で体重を増やそうとした時期があった。いろいろ試した。結果から言うと、ほぼ変わらなかった。
ホエイプロテインから始めた。飲むたびに胃がもたれた。乳製品が得意じゃないのもあって続かなかった。大豆プロテインに切り替えたら胃への負担は減ったが、体重は1〜2kg増えてまた戻った。
意識的に食事量を増やした時期もある。胃が重くて仕事中も眠くて、あまり快適ではなかった。体重は一時的に50kgを超えたが、やめたらすぐ戻った。
筋肉をつければ体重が増えると思って自重トレーニングを始めた。体型が少し引き締まった気はしたが、太った感じはしなかった。
正直に言うと、今は「もう慣れた」という感覚が大きい。30年以上この体重でやってきたわけで、これが自分の普通なんだと思うようになってきた。
「痩せてていいね」と言われることもある。羨ましいという意味で言ってくれているのはわかる。でも太りたい側からすると、少し複雑な気持ちになる。
「太れない」も「太れない」なりの悩みがある。痩せたい人の苦労と比べるつもりはないが、どちらも自分の体に悩んでいるという点では同じだと思っている。
ただ「気にしていない」かというとそうでもない。健康診断の結果を見るたびに、少しだけ「もう少し増やせたらいいな」と思う。慢性的な疲れや消化の弱さが体重と関係しているかもしれないという感覚もある。だからこのサイトを書き始めた。
・小さい頃からずっと細く、大人になっても変わらない
・「ちゃんと食べてる?」は悪意がない分、毎回消耗する
・プロテイン・食事量増加・筋トレ、いろいろ試したが体重は戻った
・今は慣れた。でも気にしていないわけでもない。だから記録を続けている。